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民営化保育園・公立保育所・民間保育園運営経費について-29年度-

①公立保育所民営化による検証と公立保育所の存続について(表12456参照)

 19年度から公立保育所の民営化が始まり29年度末で11年になります。当初茨木市は公立保育所1カ所(120名定員)を民営化すると8800万円の経費節減になり、保育行政は向上するとしていました。そのことを根拠に19年度から中条保育所、三島保育所、玉櫛保育所、水尾保育所、郡山保育所、松ヶ本保育所、庄保育所、東保育所など合計8カ所の公立保育所を民営化しました。さらに26年度には下穂積保育所、鮎川保育所2ヵ所、さらに27年度には中津保育所、道祖本保育所の2ヵ所を民営化し、28年度に玉島保育所1ヵ所を民営化し、残る予定の公立保育所は春日、中央、沢良宜、総持寺、郡の5ヵ所になります。民営化により全体の公立保育所運営費は約19.8億円の減額(32.1億円-12.3億円18年度-29年度-表2)となっていますが、その内、正職員の保育士等の人件費の減が13億円(21.3億円-7.9億円18年度-29年度-表2)で、これらは民営化による市全体の経費減ではない公立保育所以外の他の施設(子育て支援センター等)への異動も一部含まれていますし、ほとんどは公立保育所保育士の定年退職による経費減です。(仮に公立保育所を存続させて若年の保育士を採用する必要が生じたとしても、その経費増は民間保育園の人件費と変わりません)したがって民営化による市全体の経費減は4.4億円です。一方29年度の13カ所の民営化保育園に対する市支出額は約8.1億円(表5)ですので、市全体の支出額はむしろ3.7億円の増です。今日の待機児童の激増など茨木市の保育行政の水準の推移を総合的に見るとトータルでは低下したことに間違いはありません。十分な検証が必要です。また現在、5ヵ所の公立保育所が市内5つのブロックで運営されています。しかし新規の保育士の採用が少ないため、保育士平均年齢増による人件費が増加しています。したがって公立保育所は今後の茨木市の保育行政を維持・向上させるための貴重な存在として、「世代の継承」を重視すべきです。(表6参照)

②民営化保育園の運営状況(表4参照)

 29年度の13民営化保育園の年間園児一人あたり運営経費にはばらつきが出てきました。また次年度繰越金と当該年度積立金にも差があります。民営化保育園にとって、最大の課題は老朽化した園舎を建て替えするための支出です。そのためにどうしても経常収支で黒字を計上し、計画的に積み立てるか、経常収支からの施設整備支出が必要となります。しかしそのために日常の人件費を含む運営経費にしわ寄せが来るとしたら問題です。したがって少なくとも民営化保育園の園舎の建て替えや大規模改修の費用は茨木市が補助制度を確立する必要があります。たとえば民営化4年目の29年度の保育園下穂積キッズ(前市立下穂積保育所)は人件費など経費を抑えて2千8百万円の黒字を計上し、その内「その他積立金」に2千7百万円も計上しました。その結果期末積立金は1億3千7百万円となっています。

 

③民間保育園等の繰越金と積立金について(表3参照)
 29年度では、60ヵ所の民間保育園(認定保育園、小規模保育所等を含む)全体の繰越金は約13.3億円で、全公費収入の17.7%に当たります。その結果、期末積立金総額は約18.3億円となっています。何のための多額の繰越金と積立金。ここにも施設老朽化による建て替えに備えての財政運営を見ることができます。

④公立保育所と民間保育園の運営状況(表1参照)
 29年度の茨木市内保育所等入所児約5,796人の内、民間保育園等が5,291人(91.3%)、公立保育所505人(8.7%)となり、民間保育園への依存度が一層高まりました。公立保育所の市年間支出総額は12.3億円-保育料等を除くと12.2億円。一方民間保育園の運営費総額は69.2億円、市が負担しているのは23.4億円です。したがって公・民あわせて35.6億円となります。茨木市は更なる民営化を推進しようとしていますが、民営化民間保育園の老朽化した園舎の建て替えや大規模改修の問題とその影響について対策が必要です。

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